コレステロール値が上がりやすい体質の人は、もっと厳格に食べる量を制限しなければならないし、一方、検査値が正常であれば、食べる量はあまり気にしなくてよいのである。
余談になるが、コレステロールが多く含まれている食品の一つにイクラがある。イクラは、四〇年ほど前まで、日本では食品と考えられていなかった。
そのため鮭が大量にとれた漁村では、始末に困り、近所にただでくばっていたのだという。食料がまだ十分になかったころのことで、毎日イクラを食べて育った人たちがいることになる。その後、ロシアなどからキャビアが輸入されるようになく、高級食品に変身した。
肉類では、牛肉、豚肉、鶏肉の順にコレステロールが多い。特に問題なのはレバーである。
レバーが昔から貧血の薬とされてきたのは、鉄分が多く含まれているからでもある。病院で貧血と診断され、レバーを食べるように指導をうけている人もいる。しかし動脈硬化症の予防を考えると、あまりおすすめはできない。
ちなみに、女性に多くみられる貧血には、鉄剤を服用するなど対症療法しかなく、特に治療しなくてもその後の健康状態に違いはない。再生不良性貧血や子宮筋腫などの病気が原因の場合は専門的な治療が必要だが、レバーを食べて貧血が治ることはないのである。
意外な食品としては、海産物がある。「海でとれるものはすべて体に良い」という話が誇張
されて伝わっているが、必ずしもそうではない。いか、うに、ししゃも、しらす干し、えびなどは、かなりコレステロールが多い。
コレステロールの多い食品のベストテンをあげた。
なお「米飯やパンなどの炭水化物をいっさいとらずに肉類だけを食べるダイエット法は危険」とのべた。このような偏った食事をつづけていると、血液中のコレステロール値が上昇し、心筋梗塞などの病気がふえてしまうからである。
牛乳が体に良いのは確かである。親牛が子牛を育てるためのものであり、体に悪いわけがない。子牛ばかりではなく、人間の子どもにとっても最適な栄養源となっている。若者の足が長くなってきたのは牛乳のおかげという説もあり、真偽のほどはともかく、牛乳が現代人の健康増進に果たした役割には、はかくしれないものがある。
ただし、あくまで赤ちゃんや子どもにとって黄適という意味である。脂肪量がきわめて多いため、大人にとっては間違いなく肥満の原因となる。
こんな話もある。牛乳の一リットルパックを毎日二本ずつ飲んでいるという人がいた。中性脂肪の検査をうけたところ、一〇〇〇6wXid~(正常上限の約六倍)をはるかにこえていた。検査値だけをみれば、重病人と診断されてしまいかねない状態であったが、牛乳をやめたら、検査値は完全に正常になってしまったのである。
牛乳の栄養分は、一〇〇ミリリットルあたり平均して、離カロリーエバCキロカロリー、脂肪三〇キロカロリー、炭水化物二〇キロカロリーくらいである。
低脂肪をうたった牛乳もいろいろ市販されていて、標準的な製品では、総カロリー四六キロカロリー、脂肪一二キロカロリー、炭水化物二〇キロカロリーほどになっている。
これくらいならダイエット中に飲んでも大丈夫であろう。ただし低脂肪をうたいながら、カロリーが高く脂肪も普通の牛乳よく多いという理解しがたい製品もあるので注意がいる。
食品を買いもとめる際は成分表を読む、という習慣を身につけておいた方がよい。ちなみに牛乳には、コレステロールがほとんど含まれていないという点も覚えておきたい。
水で太る「水を飲んでも太るんです」という人がよくいるが、ありえない話である。水だけで太っていられるのであれば、人類は食糧問題で苦労しないですむ。
やせていく過程で体の水分バランスがどのように変化したかを追跡した、という面白い研究があるので紹介しておきたい。
対象は、BMIが五〇近くあり、やせるために胃切除手術をうけたという女性たちである。手術後の一年間、BMIとともに体内の水分量を精密に測定しつづけたのである。
結果は次のようなものであった。まず手術の一年後、体重にして平均五三キログラム、BMIでは二〇ほどの減量が達成できている。この間、最初の二週間は体重の低下率にくらべ、水分の減少した割合がかなり大きかった。しかしその後、体重が大幅に減少していったにもかかわらず、水分量はあまり変化しなかったのである。
このデータから、減量の初期では水分減少が大きく効いていることがわかる。「水を飲んで
も太るんです」という主張は、ある意味であたっていたことになる。
水分を大量にとると、まず細胞の内外にたまる。しばらくすると、それが血管内にしみだし、血液がうすまることになるが、腎臓がこの状態を検知し、水分をひきぬいてくれるのである。
つまり余分な水分の大部分は、尿として体外に排出されることになる。
このとき、わずかずつではあるが、細胞の内外に水分が残ってしまい、体重増加につながるのである。
一万、サウナなどで汗をかくと一時的に体重はへる。しかし体内の水分量は、基本的には一定に保たれるようになっているため、その後の食事や水分摂取ですぐもとにもどってしまい、減量にはつながらない。
水分をとおりすぎると、血液がうすまってしまうという問題も生じる。その結果、かえって体調をくずしてしまう人が多いという事実にも目を向けるべきであろう。異常な疲労感、下肢の筋肉けいれん(こむらがえり)、めまい、むくみなどは、水分のとりすぎによる代表的な症状である。
大量の水分をとらないと気がすまないというのは悪習慣である。これをたちきることも、ダイエットの一つとなる。
やせる方法として薬物療法や手術もあるが、これらはあくまで最終手段である。特殊な遺伝子異常のために、どうしてもやせることができないという、ごく一部の人に適用すべき方法である。ほとんどの人の場合、運動とダイエットだけで適切、かつ十分なのである。以下にその根拠を、いろいろみていきたい。
まずダイエットの効果に関する研究である。
アメリカで、二五歳から七五歳の肥満女性ばかり約一〇〇人を集め、三ケ月にわたる徹底したダイエットを行い、その効果を調べるという研究が行われた。ダイエット前のBMIは、二五から六五の間となっていた。六五は極端としても、二五くらいの肥満であれば日本人にも多く、この結果は大いに参考になりそうである。
総カロリーは、BMIの大小にかかわらず三〇〇ときめられた。食事内容は、栄養素にもとづいたグループ分けを行い、それぞれの中でカロリーが等しければ自由にとりかえてよいことにした。そのグループとは、果物、野菜、乳製品、パン、脂肪製品、それにたんぱく質の六つである。ほかに一〇〇キロカロリーという制限内で、何を食べてもよいことにした。
毎週一回、集まり、栄養士の説明を聞くことと、抜き打ちで一日に食べたものをすべて書きだして提出する義務も課した。つまり、かなり厳しい計画のもとで調査が行われたのである。
その結果、平均で、ダイエットがBMI三四二、体脂肪率四三二、ダイエットがBMI三一・三、体脂肪率三九二二の減量効果が認められたという。BMIも体脂肪率も、およそ九パーセントの減少である。体重に換算すれば、たとえば体重六〇キログラムの人が五四~五五キログラムになったことになる。もちろん、減量幅には個人差もあった。
結果をまとめれば、ダイエットだけでやせるには、かなり厳格な管理が必要ということになる。
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